子供の気持ちがわからない。
母親になるまでは、「私は子供の気持ちをわかっている大人だ」と思っていた。だから私は赤ちゃん言葉で子供に話しかけたりしない。なぜなら私とあなたは対等なのだから。子供だからって、無視したりしない。同じ人間として扱い、話し合いで解決できる。
マジでそう思っていた。穴があったら入りたい。今から掘らせてもらってもいいですか？
子供の気持ちはわからない。あなたがわかると思っているなら、百戦錬磨のスーパー育児マンか、何も知らないかどっちかだ。
「トマトジュース飲みたい」と言うからトマトジュース入れたのに、めちゃめちゃ嫌そうな顔で「いらない」と言う気持ちがわかりますか？アンパンマンのシャツが無いなら、裸でいるほうがマシだ！と泣き叫ぶ気持ちがわかりますか？オムツを履いてないことに気付きながら、そのままうんちする気持ちがわかりますか？高い高いを何セットもやらせて、こっちの背筋が死んでるのに笑顔で「もっと」と要求する気持ちがわかりますか？
私にはわからん。なぜこんなにもアンパンマンのシャツにこだわるのか？昨日はミニーちゃんのパジャマがいいって言ったのに、なぜ今日は絶対に着てくれないのか？よくね？キキララじゃなくてもよくね？
それに反比例するように、親の気持ちがどんどんわかってきている。プールに子供を連れてってあげる親の気持ち、喫茶店でメロンソーダを食べさせてあげる親の気持ち、ワンオペの時の親の気持ち、子供がご飯を残してお菓子を食べたいと騒ぐときの親の気持ち、やっとこさ寝かしつけを終えて、缶ビールプシュする時の親の気持ち・・・
自分が10代の頃は、母親が普通の仕事をして、普通に家事をしているだけに見えていた。「私はこんな普通じゃなくて、あれになりたい、これになりたい」など、テレビに出ている有名人や派手な仕事に憧れていた。しかし今改めて振り返ると、毎日家事育児にパートに親の世話にとめちゃめちゃ忙しい日々だったのだとわかる。
それを思うと、自分が子供の時にしてきた数々の親に対する仕打ちを思い出し、また穴を探している。一体何個の穴が人生で必要か？天文学的な数のオネショをしてきて、母親の化粧品をこっそりイジってめちゃめちゃにして、哺乳瓶も拒否してきた自分。無邪気に「お酒のんじゃだめ～！」と禁止していた自分。「トイレはキレイに」というポスターを作ってトイレのドアに貼ってトイレ掃除一回もやらなかった自分。特にイブサンローランの口紅をコッソリ塗って、繰り出したリップしまわずにフタ閉めるもんだから何本もグニャグニャ～ってしちゃったのに怒らなかった母はすごいと思う。
私はまだ全然母親としてペーペーである。教えられることは何もない。先日も、アンパンマンの絵本を読んでる際、子供がめいけんチーズにドーナツをあげる遊びをしていたら、「本当の犬はドーナツ食べないから、実際はあげちゃだめだよ」と言って泣かせてしまったくらいペーペーママだ。しかしそんな私でも、だんだんと世の中の母の気持ちを理解しつつある。
小学生の時、母親が作ったバターライスが不味くて、「何かもっとマシなモノはないかな」と言いながら冷蔵庫を開けていたら、母親が泣いてしまった事があった。私はなんてことをしてしまったのだと思って泣いて謝った。あの時の母親は、父の退職祝いにサプライズで25万の腕時計をプレゼントして、「僕いらない、時計持ってるもん。」と言われた当時25歳の私くらい可哀想だっただろう。私も泣いたので父は慌てて謝ってたけど。名前彫ってなかったら次の日絶対返品してた。
しかしまだ私は自分の母親の気持ちを完全には理解できていない。60半ばにして誰よりもポケモンGOをやっている気持ち、もうレベル42な気持ち、毎日娘に「ギフト開けて！」とLINEする気持ち。トマトキライなのに自分のサラダにもトマトを乗せてそっくりそのまま残す気持ち、写真のテイで2秒の動画を送ってくる気持ち、せっかく歯を熱心に磨いたのにその後お酒飲んで寝ちゃう気持ち、それを娘に指摘される気持ち・・
関係ないけど20代前半は「男の気持ちはわかる」と思っていたが、それも間違いだった。夜中までゼルダやって朝私より遅く起きてくるのもわからんし、私より早く起きるの年に何回しかないのもわからんし、私が寝坊すると必ずそれ以上寝坊してるのもわけわからん。おっと脱線してしまいました。
子供の気持ちもわからないが、まだまだ親の気持ちを理解するのは遠そうである。
あと母親に関しては寝酒ならぬ寝麻婆という強烈エピソードがあるけど、それ言うと怒られるから言いません。
あと夫はたまには私より早く起きろ。
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